社会人になってからテニスを再開しても、本当に上達できるの?――私自身の経験を軸に、練習の組み立て方、試合での考え方、スクール・壁打ち・テニスオフの活用術までをまとめました。フォームの迷いが消え、接戦をモノにできるようになった「具体的なコツ」を、難しい用語を避けて丁寧に解説します。
社会人からテニスを再開したきっかけと最初の一歩
私が再びラケットを握ったのは、家の近く、徒歩5分の場所にテニススクールができたのがきっかけでした。高校では部活でテニスをしていたものの、大学では離れていました。そんなときに錦織圭選手が全米オープン決勝に進出。テレビの前で観戦しているうちに「やっぱりコートに立ちたい」という気持ちが戻ってきたのです。
スクール入会直後は、ブランクで身体が固く、ボールの距離感も合いません。サーブはネット、フォアは差し込まれ、バックはスライスで逃げるのが精一杯……。「昔はできたのに」が口癖になりそうでしたが、最初の一歩は“感覚を取り戻す”ことに全振り。うまく打とうと力むより、ミスしてもいいから数を打つと決めて、肩の力を抜くことから始めました。
再開直後にぶつかった課題と、乗り越え方の基本
再開後の典型的な課題は大きく「フォームの不安」「タイミングのズレ」「試合での緊張」の3つでした。フォームは、正解を探しすぎると固まって動けません。私はコーチの言葉をシンプルに一つだけ意識するようにし、「今日はスイングのフィニッシュ位置だけ」など、テーマを毎回1点に絞りました。次のレッスンでは別の1点。これだけで混乱が減り、再現性が上がります。
タイミングのズレは、スプリットステップを深めに入れることで改善しました。膝を軽く沈め、相手が打つ瞬間に着地する感覚です。特にリターンでは効果抜群で、「沈んで→前に出る」の流れができると、待つのではなく“取りに行く”準備が整います。
そして試合の緊張。これは「数をこなす」のが最良の処方箋でした。練習で完璧でも、試合では別人になるのが普通。緊張は悪者ではなく、“使い方を覚えるもの”と理解してから楽になりました。
3. 壁打ち・フォーム練習の正しい使い方(やりすぎ注意)
壁打ちはフォームの確認やリズム作りにとても便利です。ですが、やりすぎると実際のコート感覚とズレます。壁は必ず返ってきますし、バウンドの高さや時間も一定。試合では相手の球種・回転・コースが変わるので、壁だけで“上達した気”にならないことが大切です。
私が実践して効果的だったのは、壁打ちは15〜20分程度に限定し、テーマは「フィニッシュ位置」と「リズム」の2点まで。フォームのイメージを掴んだら、すぐにコートで対人ラリーに移ります。なお、新球で硬めのポリエステルガットを長時間打ち続けると、肘や手首の負担が大きくなりがち。特に壁打ちの“同じ衝撃”が続く練習は疲労がたまりやすいので、無理をしない・適切に休む・ガットは張りたて直後の負荷に注意を心がけました(体調に不安があれば無理せず医療機関へ)。
まとめると、壁打ちは「フォーム確認のための短いドリル」と割り切り、実戦感覚は必ずコートで磨く。この住み分けで、ズレが起きにくくなります。
4. スクールと公園コートの併用で“球数&実戦”を最大化
少人数のクラスを選んだのは大正解でした。単純に球数が増えるので、感覚が戻るのが早い。反復の中で「今日はコース」「今日は高さ」と焦点が絞れます。さらに、スクールで仲良くなった“おじさん”と一緒に、外の公園コートで自主練を重ねました。コート代を割り勘にすれば、スクールより安く、試合形式をたくさん回せるのが魅力。ラリー→パターン練習→ミニゲーム→タイブレークなど、実戦に直結する練習が豊富にでき、得点勘が身につきました。
2時間練習メニュー例(実際に効果があった流れ)
- ウォームアップ(10分):ショートラリー→ミドル→ロング。足元から温め、スイングは6割。
- ラリー基礎(25分):クロス固定10分→ストレート10分→フォア&バック切り替え5分。
- サーブ&リターン(25分):サーブはコース指定(ワイド/ボディ/センター)。リターンはスプリットを深めに。
- ボレー&スマッシュ(15分):前後のフットワークを意識。ロブ処理の基礎。
- パターン練習(20分):「バック狙い→浅くなったら前へ」「高く深く返ってきたらロブ対応」など。
- 試合形式(20分):4ポイント先取やタイブレークのミニゲームで圧を再現。
- クールダウン(5分):肩・前腕・股関節を重点的にストレッチ。
ポイントは、メニューごとにテーマを1つ決めること。「サーブはワイド80%」「リターンはとにかく前に」「ボレーは左足から」など、具体的で測れる目標にすると練習の質が跳ね上がります。
5. テニスオフ&テニスベアで試合数を積み上げるコツ
初めてテニスオフに参加したときは、知らない人が相手で正直ドキドキでした。それでも、募集レベル(初級・初中級・中級など)をしっかり確認して申し込めば大丈夫。実際に行ってみると、主催者さんが丁寧に進行してくれて、気持ちよくプレーできました。テニスベアも同様で、レビューや募集詳細を読み込めば雰囲気はつかめます。
試合は「慣れ」が全て。たとえば、最初は心拍が上がり、浅いボールを打ちがちでしたが、回数を重ねると呼吸の整え方やポイント間のルーティンが体に染み込み、接戦での粘りが効くようになります。数をこなすほど、“緊張しても動ける自分”が作られていくのを実感しました。
6. 試合で勝つためのシンプル戦略とメンタル管理
シングルスでまず効くのは、相手のバックハンドを7割狙うこと。多くのプレーヤーはバックが弱点になりやすく、バック側に集めるだけで主導権を握れます。さらに浅く浮いたら前に入る、深く返ってきたらムリせずつなぐ。これだけでも勝率は上がります。

実戦で効いた具体例を挙げると、サーブはコース重視(ワイドで外に引っ張り、次球をオープンコートへ)。リターンはスプリットを深めに入れて、最初の一歩を鋭く。バックはスライスを混ぜ、相手のリズムを崩します。相手に強いフォアがある場合は、そのフォアへ“深く高く”を送って打ちづらくし、バックへ展開。これで主導権が握りやすくなりました。
相手がイライラしているときは、こちらまで揺さぶられがち。そんなときほど、自分のルーティン(呼吸→ボールつき→目標の再確認)に集中。相手に打たせて確率でミスを誘う姿勢に切り替えると、乱れをもらいやすいです。逆に、こちらが熱くなったら、サービス間に5秒長く呼吸するだけでも落ち着きが戻ります。
練習頻度と上達の体感値
私の場合、週1回は“現状維持+α”の感覚。プレーのキレを保てますが、大きな伸びは出にくい。一方、週2回以上は明確に変わります。ショットの再現性、足の動き、メンタルの安定、どれも“昨日の続き”で積み上がりやすい。予定が詰まっている人は、週1回+自宅ドリル(シャドースイングやフットワーク)を組み合わせるのも効果的です。
今後の目標(私のケース)
目標は、市の大会で上位進出、そして実業団でも通用するレベルへ。派手なことはしなくていい。コツコツと“確率の高い選択”を積み重ねる――その結果として、勝利がついてくるはずだと信じています。
7. 使用ラケット:HEAD Speed MP 2024のレビュー
現在使っているのはHEAD Speed MP 2024。白黒のシンプルで洗練されたデザインに一目惚れし、誕生日プレゼントとしてもらった思い入れのある一本です。
打感は前モデル(2022)よりも柔らかさが増し、ボールを掴んで運ぶ感覚が強まりました。特にストロークではスイング軌道にしっかり乗ってくれるので、ブランク明けの自分にとって安心感が大きかったです。スイートスポットを捉えたときの伸びは心地よく、コートに突き刺さるような直進性が魅力。
サーブやリターンでは過度に弾きすぎない分、コントロール性が高いのが好印象。狙ったコースに打ち込みやすく、バックのスライスやロブでも「乗せて返す」感覚が得られます。プレースタイルを選ばないオールラウンダー寄りで、試合の再現性に貢献してくれていると感じます。
ラケットは好みが分かれる道具ですが、HEAD Speed MP 2024は守備も攻撃もバランス良くこなしたい人に合う一本。デザインがモチベーションを高めてくれるのも長所で、これからも長く使い続けたい相棒です。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 壁打ちはどれくらい効果がありますか?
フォーム確認・リズム作りには最適です。ただしやりすぎは禁物。15〜20分で切り上げ、必ず対人ラリーとセットで使いましょう。
Q2. ガットやボールは何を選べばいい?
ポリエステルは飛びを抑えやすく耐久性が高い一方、負担も大きめ。張りたての新球連打は肘・手首にこたえるので注意。扱いやすさ重視ならナイロン系も有力です。迷ったら、まずはナイロンでテンションを少し低めに(例:45〜50ポンド)試すのがおすすめ。
Q3. 練習は週何回がベスト?
時間が取れるなら週2回以上が伸びやすい。週1回の場合は、短い自宅ドリル(素振り・フットワーク・チューブトレ)を足すと効果的です。
Q4. 初めてテニスオフ(またはテニスベア)に参加するときの注意点は?
募集レベルと練習内容(試合中心/ラリー中心)をよく読み、当日の流れをイメージしてから申し込みましょう。最初は“初中級歓迎”など敷居の低い募集がおすすめ。主催者の過去レビューも参考になります。
Q5. 試合で緊張して崩れます……どうしたら?
緊張は悪くありません。“使い方”を覚えるだけ。ポイント間ルーティン(深呼吸→ボールつき→狙いの再確認)を固定し、セカンドサーブは確率優先。相手が荒れているときほど、“相手にもう一球打たせる”視点が効きます。
まとめ
社会人からでもテニスは十分に上達できます。壁打ちは短時間のフォーム確認に限定し、コートでの実戦で感覚を磨く。スクールと公園コート、テニスオフを賢く併用し、週2回以上のテンポを作れれば、接戦で勝ち切る力が自然と身につきます。派手ではないけれど、確実に“勝てる自分”に近づくロードマップです。
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