会社員の福利厚生のひとつに「社内持株会」という制度があります。給与から自動で天引きされ、自社株を購入できる仕組みで、奨励金(補助金)がつくのが最大の魅力です。しかし「本当にお得なの?」「リスクはあるの?」と不安を抱える人も少なくありません。この記事では奨励金5%を例に、仕組みやメリット・デメリット、実際のシミュレーションや企業別の奨励金率まで、初心者にもわかりやすく解説します。

社内持株会とは?
社内持株会とは、従業員が給与の一部を拠出し、そのお金で自社株を購入できる制度です。会社が拠出額に応じて奨励金を上乗せしてくれるため、実質的に「補助つき投資」が可能になります。福利厚生の一環であり、社員の資産形成支援と会社への帰属意識向上が狙いです。
メリット
① 奨励金で利回りアップ
年間12万円を拠出すると、奨励金5%=6,000円が追加され、12万6,000円分の株を購入可能。利回り換算で年5%保証のような効果があります。
② 強制的に積立できる
給与天引きなので「気づいたら積み立てられている」状態になり、貯金が苦手でも資産形成が進みます。
③ 複利効果を享受できる
奨励金+株価上昇+配当金の「トリプル効果」で、長期保有すれば複利的に資産を増やせます。
デメリット・リスク
① 自社依存リスク
給与と資産が同じ会社に集中。業績悪化で「収入も資産も同時に下落」する恐れがあります。
② 株価下落リスク
20%下落すると奨励金ではカバーできず損失に。大暴落リスクは残ります。
③ 流動性が低い
すぐに売却できず、単元株になって証券口座へ移す必要があります。急な資金需要には不向きです。
④ 証券口座指定の可能性
会社によっては「SMBC日興証券など指定口座のみ」というケースがあり、既存の証券口座と分散して管理が面倒になることがあります。
シミュレーション:奨励金5%の効果
社内持株会の最大の魅力は「奨励金による上乗せ」です。しかし、株価が変動した場合にどの程度リスクが和らぐのかを理解しておく必要があります。以下は年間拠出額ごとに、奨励金5%を加味したシミュレーションです。
年間拠出額 | 奨励金5% | 合計購入額 | 横ばい | 10%下落 | 20%下落 | 10%上昇 | 20%上昇 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
12万円 | 6,000円 | 12万6,000円 | +6,000円 | -12,600円 | -25,200円 | +18,600円 | +31,200円 |
24万円 | 12,000円 | 25万2,000円 | +12,000円 | -25,200円 | -50,400円 | +37,200円 | +62,400円 |
60万円 | 30,000円 | 63万円 | +30,000円 | -63,000円 | -126,000円 | +93,000円 | +156,000円 |
このシミュレーションを見ると、株価が横ばいなら奨励金分がそのまま利益になります。株価が10%下落しても奨励金があるため損失幅は軽減。一方で上昇局面では奨励金と株価上昇益が合わさり、非常に大きなリターンになります。
ケース別おすすめ活用法
新入社員
月5,000円程度から少額参加。長期複利で効果大。
中堅社員
奨励金狙い+証券口座に移管しNISAや投信で分散。リスク管理が鍵。
定年前
流動性重視。少額参加にとどめ、老後資金はiDeCoやNISAを優先。
FAQ
Q1. 奨励金は課税対象?
株式で付与されるため現金課税はなし。ただし売却益や配当には課税。
Q2. 途中退会は可能?
可能。ただし移管や売却までに時間がかかることも。
Q3. 株価下落時は?
奨励金で一部カバーできるが、大幅下落には弱い。
Q4. 奨励金率は会社で違う?
3〜10%が一般的。中には50%や100%超の企業も存在。
Q5. 配当金の扱いは?
通常の株式と同じく支払われ、移管後は自分の口座に入る。
Q6. 売却時の手数料は?
証券口座に移した後は通常の株式売却手数料が発生。
Q7. 退職したらどうなる?
自動退会となり、株式は証券口座へ移される。
Q8. どれくらい拠出が理想?
給与の1〜2割以内。無理なく続けられる金額がおすすめ。
企業別 奨励金率の事例
- 一般的水準:5〜10%が大半(平均10%前後)。
- Finatextグループ:50%。1万円拠出で1万5千円分の株。
- フォースタートアップス:20%→50%へ引き上げ。
- GENDA:5%→30%へ引き上げ(2025年予定)。
- INEST:期間限定で20%→50%。
- クックビズ:驚異の120%。1万円で2万2千円分の株購入可。
まとめ
社内持株会は奨励金で確実に「得」できる制度です。特に5%補助は銀行金利では得られない魅力があります。ただし、自社株集中や証券口座指定の不便さといったリスクも。 おすすめは「少額参加+分散投資」。奨励金を活かしながら、NISAや投資信託と組み合わせてバランスを取りましょう。制度は会社ごとに大きく異なるので、奨励金率や条件は必ずチェックすることをおすすめします。
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