フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレー。テニス界を支配した「BIG4」の鉄壁の守備を、圧倒的な力技で粉砕し続けた男をご存知でしょうか?
スイスの名プレーヤー、スタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka)。彼は「テニス史上最も美しい」と称される芸術的な片手バックハンドを武器に、グランドスラムで3度も頂点に立ちました。
度重なる大怪我や手術を乗り越え、40歳を超えてもなおATPツアーの最前線で闘志を燃やし続けるその姿は、世界中のファンに感動を与え続けています。
本記事では、彼をレジェンドたらしめた超攻撃的戦術の秘密や愛用ラケット(YONEX)、左腕に刻まれたタトゥーに秘められた不屈のメンタル、そして一般プレーヤーが「片手バックハンド」を上達させるための練習ドリルまで、初心者にもわかりやすく徹底解説します!
- BIG4を粉砕した男!「スタニマル」と呼ばれる超攻撃的戦術
- 世界一美しい「片手バックハンド」を生み出す体の使い方
- 左腕のタトゥー「Fail better」に込められた不屈のメンタル
- 週末プレーヤー必見!片手バックを安定させる「厳選3つの練習ドリル」
ワウリンカの基本プロフィールと「遅咲き」のキャリア
スタン・ワウリンカは1985年生まれ。ジュニア時代から才能を高く評価されていましたが、同郷の絶対王者ロジャー・フェデラーの影に隠れ、長らく「才能はあるが大舞台で勝ち切れない選手」という評価を受けていました。
| 名前 | スタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka) |
|---|---|
| 生年月日 | 1985年3月28日 |
| 国籍 | スイス(ローザンヌ出身) |
| 身長 / 体重 | 183cm / 81kg |
| 利き手 | 右利き(片手打ちバックハンド) |
| 最高ランキング | 世界3位(2014年1月記録) |
しかし2013年頃から、名将マグヌス・ノーマンをコーチに迎えたことで精神面が劇的に安定。28歳を過ぎてから突如として爆発的な強さを発揮し始めました。テニス界では完全に「遅咲き」の部類に入りますが、そこからの快進撃はテニス史に残る伝説となります。
BIG4を粉砕!グランドスラム3冠の名勝負
ワウリンカの真骨頂は、誰も勝てないと思われていた絶頂期のBIG4(特にジョコビッチとナダル)を、グランドスラムの決勝という大舞台で真っ向から力でねじ伏せたことです。
- 2014年 全豪オープン優勝: 決勝でラファエル・ナダルを撃破し、悲願の四大大会初制覇。「ついに新たなチャンピオン誕生」と世界中が熱狂しました。
- 2015年 全仏オープン優勝: 生涯グランドスラムを狙い、圧倒的な強さを誇っていたノバク・ジョコビッチを決勝で粉砕。バックハンドでラインの強打を打ち込み続ける姿は圧巻でした。
- 2016年 全米オープン優勝: 再び決勝でジョコビッチを撃破。スタミナとパワーの限界を超えた激闘を制しました。
トッププロが相手でも、ラケットを弾き飛ばすほどの重いボールを打ち込み続けるその姿から、スタン(Stan)とアニマル(Animal / 野獣)を掛け合わせた「スタニマル(Stanimal)」という異名で恐れられるようになりました。
プレースタイルの核心:世界一美しい「片手バックハンド」
彼の代名詞といえば、テニス史上最も美しいと絶賛される強烈な片手バックハンド(シングルハンド)です。
多くの片手バックの選手が、高い打点やスピン系の重いボールを苦手とする中、ワウリンカだけは例外です。強靭な下半身と体幹、そして背筋をフルに使って生み出されるスイングは、両手バックハンド以上の破壊力を持っています。
守勢に回った苦しい体勢からでも、一瞬で形勢を逆転させるバックハンドのダウン・ザ・ライン(ストレートへの強打)は、対戦相手にとってまさに悪夢。短いラリーで一気にポイントをもぎ取る爆発力で、幾度となく会場のボルテージを最高潮に引き上げてきました。
ワウリンカと同じく「華麗な片手バックハンド」でファンを魅了するこの選手も必見! ▶︎ グリゴール・ディミトロフのランキング推移と片手バックハンドの魅力:使用ラケットや彼女も徹底解説
愛用ラケットの秘密:YONEXとの強固な絆
スタニマルの超ヘビー級のストロークを長年支え続けているのが、日本のメーカー「ヨネックス(YONEX)」のラケットです。
彼は長らくコントロールとパワーを両立した「VCORE PRO 97」を愛用していましたが、同シリーズのモデルチェンジに伴い、現在は後継機である「PERCEPT 97(パーセプト 97)」(またはそのペイントジョブ)を使用しています。
重いボールに打ち負けないフレームの安定性と、ボールをガットに「乗せて運ぶ」ような絶妙なしなりを持つこのシリーズは、ワウリンカの重厚なストロークと片手バックハンドにこの上なくマッチしています。
不屈のメンタルを象徴する「左腕のタトゥー」と友情
ワウリンカのキャリアは、決して順風満帆ではありませんでした。特に2017年以降は膝の軟骨を失うほどの大怪我を負い、複数回の手術と長期離脱を余儀なくされました。
それでも彼がラケットを置きなかった理由。それは彼の左腕に刻まれた、アイルランドの劇作家サミュエル・ベケットの言葉に集約されています。
"Ever tried. Ever failed. No matter. Try Again. Fail again. Fail better."
(やってもみなかったのか? 失敗ばかりだったのか? かまわない。もう一度やれ。もう一度失敗しろ。よりうまく失敗しろ。)
ランキングがどれほど落ちても、泥臭くチャレンジャー大会からやり直し、再びセンタコートで勝利を叫ぶ彼の「Never Give Up」の姿勢は、結果を超えた感動をファンに与えてくれます。
また、同郷の英雄ロジャー・フェデラーとは、2008年北京五輪のダブルスで共に金メダルを獲得した無二の親友です。シングルスではライバルとして立ちはだかる壁でしたが、フェデラーの引退後も変わらぬリスペクトと友情で結ばれています。
一般プレーヤー向け:ワウリンカに学ぶ「片手バック」3つの練習ドリル
憧れの的である「片手バックハンド」。しかし、アマチュアが打つとボールが弱々しくなったり、ミスを連発したりしがちですよね。ワウリンカの体の使い方から学べる、週末テニス用の練習法を3つに厳選しました!
- 左手でラケットを「引く」練習:
片手バックの最大のミス原因は「右手(利き手)だけでテイクバックしてしまうこと」です。打つ直前まで、必ず左手(添えた手)の力を使ってラケットを引き、右肩をしっかりアゴの下まで入れるクセをつけましょう。 - 打点に「踏み込んでから」スイングを開始する:
足を踏み込みながら腕を振ると、力が分散してボールが飛びません。右足(右利きの場合)をドスン!としっかり地面に踏み込んで壁を作ってから、一気に腕を振り抜くタイミングを練習します。 - 打った後も胸を「横に向けたまま」残す:
ワウリンカはインパクトの後、胸が正面(ネット側)を向かず、横向きの体勢をキープしています。これにより体幹の力がボールに伝わり、重いショットになります。打ち終わるまで「ヘソを横に向けたまま」を意識しましょう。
🔍 筆者の本音・実体験:片手バックは「背中」で打つ!
私も片手バックハンドを愛用していますが、どうしても威力が出ずに悩んでいました。しかし、ワウリンカのスロー映像を見て気づいたのは、彼が腕の筋力ではなく「背筋」と「肩甲骨」を大きく使ってラケットを振っていることです。
腕だけでチョリッと擦るのをやめ、ラケットを持った手を「フリスビーを遠くに投げるように」背中の筋肉を使って大きく前へ放り出す意識に変えたところ、驚くほどボールに重さが出るようになりました!片手バックに悩んでいる方は、ぜひ「背中の大きな筋肉を使う」ことを意識してみてくださいね。
まとめ:挑戦をやめないレジェンド「スタン・ザ・マン」
スタン・ワウリンカは、ただ成績が優れているだけのトッププレーヤーではなく、精神力と生き様でテニス界に絶大な影響を与え続けるレジェンドです。
グランドスラム3冠、オリンピック金メダルという輝かしい実績を持ちながらも、左腕のタトゥーの通り「よりうまく失敗する」ために、泥にまみれながらコートに立ち続ける姿。40歳を超えても挑戦を続ける彼のプレーから、私たちはテニスの技術以上の大切なことを学ばせてもらっています。
これからも、彼の放つ芸術的な片手バックハンドの弾道から目が離せません!
よくある質問(FAQ)
Q. ワウリンカのバックハンドが強い理由は?
A. 腕の筋力だけに頼らず、強靭な下半身で踏み込み、体幹と背筋(肩甲骨)の大きな筋肉をフルに使ってスイングしているためです。インパクト後も体が正面を向かない「壁」を作ることで、重いボールを生み出しています。
Q. 彼が使用しているラケットは何ですか?
A. ヨネックス(YONEX)の「PERCEPT 97(パーセプト 97)」(旧 VCORE PROシリーズ)を使用しています。しなりとコントロール性に優れ、彼の重いストロークを支えています。
Q. 左腕のタトゥーには何と書いてあるのですか?
A. 劇作家サミュエル・ベケットの言葉「Ever tried. Ever failed. No matter. Try Again. Fail again. Fail better.(もう一度やれ。もう一度失敗しろ。よりうまく失敗しろ。)」が刻まれており、彼の不屈のメンタルを象徴しています。
Q. 日本人選手との印象的な対戦はありますか?
A. 錦織圭選手とは過去に何度も激闘を繰り広げています。特に2014年全米オープン準々決勝でのフルセットの熱戦は、日本のテニスファンの記憶にも強く残っています。
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